銀行に預けていれば良かった時代があった
現在、銀行に定期預金で預けていても金利が0.01%くらいしか付きません。
一方、バブルと呼ばれていた時代には10年ものの定期預金をすると金利が
8%のものもありました。
数字だけ挙げると、100万円預けていれば、10年後には約215万円になります。
現代から見ると定期預金とは言え、元金保証がある銀行で、金利が8%という状況は、
「銀行に預けていれば資産が増える」と考えて問題ない水準であり、もし、今の投資
市場の環境で銀行の金利が8%だったら、投資するより銀行に預けている方が賢い
という判断はとても合理的だと思います。
参考ですが、バブル期は普通預金の金利は2%くらいのところが多かったようです。
普通預金なら金利0.001%って・・・
さて、ひるがえって、現代のお話です。
あるメガバンクの金利を先ほど確認したのですが、普通預金で「0.001%」でした。
(2017.3月現在)
「少なッ!!」
と思ったら、正常な判断です。8%から比べると8000分の1ですからね。
2%と比べても2000分の1です。
この金利の低さは銀行の努力不足では決してないのですが、数字だけみると
何かのギャグなのかな?と思いたくなる数値です。
この場合ですと、100万円預けて、1年後に1000円利息が付いて、100万1000円に
なるわけで・・・10年後は101万45円です。とても資産を増やす手段とは考えられ
ません。
現在では、銀行預金は「資産を守る」手段であり、「増やす( 殖やす)」のは別な
手段 を考えなければいけない状況になってしまいました。
現代でリターン8%を考えてみる
現在、リターン8%を目指すとなると有力な手段は株式に投資することに
なります。
ちなみに、現在の金融市場で1年のリターンで8%を目指すとなると外国株や
国内株でリスクが高いものを組み合わせないと達成できません。
たまに、1年で10%のリターンは現実的という方がいますが、単年度のみで
見ればともかく、測定期間を5年、10年と延ばしていくにつれて投資効率は
市場平均に近くなっていきますので、10%を達成しようと思って銘柄を組むと
大変なことになる場合が多いでしょう。
ひどい場合は、1回の負けで数年分のリターンを吐き出してしまうことも
あります。
投資効率が市場平均に近くなっていく、というのは、カードのオモテとウラを
イメージすればわかりやすいです。オモテが出るか、ウラが出るか賭けた時に、
5回くらいならオモテが4回、ウラ1回というような偏りが生まれることは予想が
つきますよね。
ですが、たとえば5千回やったら、オモテが2500回くらい、ウラが2500回くらい
にまとまっていくはずです。間違っても、オモテが4000回、ウラが1000回とはなり
ません。
これが平均への回帰と呼ばれる現象で、当然、株にも当てはまります。
人は勝ち続けたい生き物ですが、必ず負けるのです。その中で、大きく勝ったり、
勝つ確率を高める努力、そして、小さく負けることが上手な人が投資家として
生き残っていきます。
なお、欧米の証券会社の調査では、個人投資家の多くは取引を重ねて株を
動かすほど損をするという結果も出ています。
実際、簡単な理屈があって、取引には手数料がかかり、利益が出れば税金が
かかるので、取引が多くなるほど利益が出たとしても自分のお金が削れて行く
わけです。
自分で銘柄選定して、買い付けを行う投資家のことをアクティブ投資家と
言います。この方達は一握りのスーパースターがいる一方で、多くの人が
1年ももたずに投資から手を引く現実があります。
投資の難しさはこの文章だけではわからないかもしれませんが、なんとなく勝つ
ことが難しいゲームなんだな、と感じていただけたら幸いです。
さて、じゃあ、リターン8%は無理なんですか?という問いに戻るのですが、
そこで、登場するのが「インデックスファンド」です。
アクティブ投資家を狩人型とすると、インデックスファンドを利用した投資家は
収穫をじっくり待つタイプの農耕型・・・いや10年~30年以上を視野に入れた
林業型・・・と言えるかもしれません。
インデックスとは「指標」のことで、インデックスファンドとは世界中にある
さまざまな指標に合わせて株を売買してくれる投資信託のことです。
世界最強の経済大国はアメリカですが、そこのインデックスファンドで
S&P500というインデックスファンドがあります。
これ、すごいです。
仮に、5年前に100万円買い付けていたら、286万円でした。
年に約23%のリターンです。
ちなみに、長期でみて最も悪いタイミングでも15年前に買えば年に5.7%の
リターンです。正直、リーマンショックの時にあわてて売り払わなければ
どの時期に買ってもプラスリターンというすごいインデックスがあるのです。
私はアクティブ運用に手を出すほど時間的な余裕と勇気がないので、インデックス
ファンドに投資してほったらかしていますが、20年後にリターンをならして1年あたり
5%~7%くらいのリターンだったらありがたいな、くらいの気持ちでいます。
5年で23%のリターンと聞いた後だと控えめに聞こえるかもしれませんが、
投資は欲をかきすぎず、シンプルなことが大切と思っていますので、5%の
リターンでも良しとしています。
ちなみに、100万円を20年間、年5%リターンで運用すると、約265万円です。
利益を確定させるときに、税金が(2017.3月現在だと)20%引かれますし、
信託報酬で1年に0.6%~1%ほど支払うので、実際にはもっともらえる額は
少ないのですが、だいたいの雰囲気はわかっていただけたんじゃないでしょうか。
ただ、インデックスファンドが最強!とは言えない理由がいくつかあるので、
後で解説します。そちらも必ず確認してください。
投資は怖いものです。怖いものですから、取扱いには注意が必要になります。
その最低限、注意しなければいけないものを頭に入れてから行動しないと、
後々、大きな損失を抱えるかもしれません。
追伸:
雑感ですが、20年前に銀行に預けていた人が賢かったのか?と言われると
必ずしもそうではないと思います。当時は日本株がバンバン上がっていた時代
でしたから、欲をかかずに売り抜けることが出来きたならば、投資資金を2倍
にすることもできた時代でした。「銀行が一番」と思っていた人は資金を増やせる
機会を損失したかわりに、「何もしない」ことと「資産の目減りを阻止する」ことを
選択したわけです。
機会損失については投資の世界に身を置くならば必ず知っておくべきことです。
投資家は「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければいけない、とある
大物投資家が著書にしるしていましたが、つまり、「お買い得のタイミング」を
逃さず買いましょう、ってことですね!
(もしくは、下がってても売り払わないようにって意味も含まれています)
現代の主婦で当てはめれば、スーパーのタイムセールに居合わせなければならない、
的な感じだと思ってください。
ただ、投資市場はスーパーみたいにわかりやすく定期的にセールはやらない
ですけども。
タイミングに頼らずに売買する一方で、「買い」とわかったらちゃんと資金を投入する
投資方法が良いと最近は考えています。
ただ、2017.3月時点ですが、アメリカの株の上がり方は少し過熱気味と思っていて、
今年中には調整が入る(いわゆる下がる局面になる)と思います。
下がるかもしれないと思いつつも、定期的に買いは入れる。そして実際に下がって
値ごろ感が出たら買い足す、という感じです。
それでは、またお会いしましょう。
この記事は個人の雑感とづづったものであり、実際に投資される場合は、自身の責任のもと、資金を投入してください。